一人称で語られる私小説の様な内容でした。
主人公が理系の大学に進学し、家庭を持つまでの物語です。
主人公は天才肌というか、主に物理学の研究に生活のすべてを集中させることに喜びというか、迷いもなく生活の中心をそこに置く学生時代を送る。人からどう見られるか、物欲的にあれが欲しいこれが欲しいということもなく、自分の興味がある研究を探求できれば幸せでなのしょう。
大学から大学院に移り、大人になっていき、家庭を持つ行程の中で、今までの自分にはない、一般的な人々(平均的な人々)が持っているものの見方、感情が理解できるようになってきて、いつまでも、自分の興味がある研究だけをしていてはこの社会の中では生きていけない、自分の興味のあることがほとんどできなくなる。しかし、これが人生なのだろう、今まで知ることのなかった喜びも多々あり、穏やかに納得していく。
しかし、彼の指導教授である喜嶋先生は、もっと天才タイプというか、平均的な人の感覚からずれており、自分の興味のある研究を続ける人生を送っている。それに伴う周りの困惑とすれ違いで、一般的には不幸な現実となる。
しかし、主人公は、この先生の無邪気で純粋な生き方が羨ましくもあり、ずっとそうあってほしいと遠くから考えている。自分はそういう生き方ができなかったから。
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人生を送るにあたって、無邪気に自分の興味のあることだけを追い求めて行けることは奇跡になりつつあるのか?
人からどう見られるか、自分は常識から外れていないか、これは幸せなのだろうか、と常に周りと比較しながら生きていくことは本当に幸せとは思えないのだが、かといって、一般的に”変わり者”と思われて生きていくのも、なかなか生きづらい。
世界のことはメディアでしかほとんど知らないが、特に日本は島国であるため、村社会を長年続けてきて、よく言われる”空気を読む””察する”社会である。